配向秩序を持つ液晶相では、分子の協同的な回転運動を電場印加や光照射によって誘起することができる。一方、セルに封じ込められた液晶分子は、容器の壁面上では分子の配向方向が束縛され、これをアンカリングと呼んでいる。アンカリングは、液晶ディスプレイの機能にとって本質的に重要かつ不可欠な要素となっているが、同時に界面上での分子回転運動を阻害するために、バックフロー(背流)と呼ばれる並進運動が励起され、配向回転によるディスプレイの機能を阻害する。本研究構想では、この現象を能動的に活用し、分子スケールの回転―並進運動変換(分子ラック&ピニオンギア)の原理を研究し、自在に制御することを目的とした。
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