火山性微動が、地下の流路をマグマが流れるときに発生する「流れ誘起振動」に起因する、という仮説を多角的に検証する試みをおこなった。水槽にゲル媒質を充填し、鉛直方向に板状の流路をつくって粘性流体を流す実験をおこなったが、期待される振動は発生しなかった。断面が楕円形の流路について、流れ誘起振動の線形安定解析をおこなった。その結果、ダイクのような有限幅の板状の流路の場合、板の横幅と同程度の波長のレイリー波がもっとも不安定化することが示唆された。これを実際のマグマの流れにあてはめると、ダイクなどの流路の幅に上限があることと、発生する火山性微動の周期に上限があることとが関係している可能性が示唆された。
|