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2015 年度 実施状況報告書

反磁性体を用いた磁気浮上式重力計の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26610139
研究機関東京大学

研究代表者

今西 祐一  東京大学, 地震研究所, 准教授 (30260516)

研究分担者 高森 昭光  東京大学, 地震研究所, 助教 (00372425)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード磁気浮上 / 重力計
研究実績の概要

平成27年度は,前半は主に平成26年度の研究の継続で,磁気浮上式重力計である超伝導重力計の水平加速度入力における特性をより詳細に調べた.前年に行っていた定量的評価の一部に不十分な点(地震計の特性を正しく考慮していなかった)があったため,それを修正した結果,この重力計における磁気浮上ポテンシャルのクロスタームの見積もりがより現実的な値となった.この推定に基づき,5Hz程度の高周波のノイズと,0.2Hz程度の波浪起源のノイズとが及ぼす影響が同一のモデルで説明できるかを調べた.その結果,波浪起源のノイズの影響は同じモデルでは説明できず,ポテンシャルの上下成分の高次項が寄与しているらしいことがわかってきた.年度の後半は主に,反磁性体を用いた磁気浮上の理論的側面について,シミュレーションによる解析を行った.この場合,反磁性体は浮上力をつかさどるのではなく,浮上を安定させることに寄与する.有限要素法ソフトウェアANSYSを導入し,コンピューター上で磁場解析を行う環境を構築した.計算においてはまず軸対象の系を仮定し,浮上体として永久磁石であるネオジム磁石を,反磁性体としては焼結カーボンを想定した.重力計では参照となる浮上体の位置や姿勢を安定に保つのに必要な支持力を得つつ,動作点の周りでは鉛直方向にできるだけ弱い拘束力が得られるのが望ましい.シミュレーションでは磁石やカーボンの形状や配置等,さまざまなパラメーターを試行して,できるだけ上記の条件を実現する条件を検討した.磁場の非対称性など,より現実的な問題を取り込むための三次元モデルの構築も検討する.また,浮上体の位置を測定するための光センサーの配置等を検討した.光センサーで検出された浮上体の位置の制御は,コイルで外部から磁場を加えて行う予定であるが,レーザーを照射する方法の可能性についても文献等で調査を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたシミュレーションによる解析は進行しているが,ディメンションや形状などのパラメーターの絞り込みに時間を要したため,材料の選定に必要な精密データを得るまでには至っていない.そのため,実機の製作についてはまだ着手できていない.本研究において磁気浮上式重力計のリファレンスとして用いる岐阜県神岡の超伝導重力計がちょうど稼働を停止するタイミングとなり,その作業に追われたことも一因である.

今後の研究の推進方策

シミュレーションを継続し,二次元モデルから三次元モデルへの展開を行う.材料の選定をすすめ,実機の試作を行う.長野県松代の超伝導重力計と並行観測を行い,性能を評価する.

次年度使用額が生じた理由

今年度,試作のための材料を調達しなかったことと,試験観測を行うための旅費を使わなかったため.

次年度使用額の使用計画

次年度には試作機を製作し,試験観測を行う.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Characterization of the room temperature payload prototype for the cryogenic interferometric gravitational wave detector KAGRA2016

    • 著者名/発表者名
      P. Arellano, F. Erasmo, T. Sekiguchi, Y. Fujii, R. Takahashi, M. Barton, N. Hirata, A. Shoda, J. van Heijningen, R. Flaminio, R. DeSalvo, K. Okutumi, T. Akutsu, Y. Aso, H. Ishizaki, N. Ohishi, K. Yamamoto, T. Uchiyama, O. Miyakawa, M. Kamiizumi, A. Takamori, et al.
    • 雑誌名

      Rev. Sci. Instrum.

      巻: 87 ページ: 034501

    • DOI

      doi: 10.1063/1.4942909

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 神岡における絶対重力測定と長期的重力変化2015

    • 著者名/発表者名
      今西祐一,名和一成,杉原光彦,宮川歩夢,田村良明,池田博
    • 学会等名
      日本測地学会講演会
    • 発表場所
      九州大学西新プラザ(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2015-10-15 – 2015-10-15
  • [学会発表] 石垣島における水平加速度の超伝導重力計への影響2015

    • 著者名/発表者名
      今西祐一,名和一成,田村良明,池田博,宮地竹史
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2015年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2015-05-28 – 2015-05-28

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公開日: 2017-01-06  

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