研究課題/領域番号 |
26610143
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
河合 淳 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 教授 (10468978)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SQUID / 地磁気 / 高分解能 / 低ドリフト |
研究実績の概要 |
26年度は、これまでの研究で整備した計測システムに改良を加えた。具体的には24ビット収録系の整備を行い、野外観測における可搬性および安全性を向上させるため、システムのバッテリー駆動および防水対策等の改良を行った。また、これまでのSQUID駆動回路(FLL)は低周波ノイズ(低周波温度ドリフト)が大きく、10Hz以下の磁場分解能がFLLで制限されていたため、低周波ノイズを低減した低ドリフトFLLを新たに開発した。その結果、1Hzでのシステム分解能はこれまでより1桁以上改善することができた。これら一次改良システムを既存のクライオスタットおよびSQUIDに接続し試験を行った結果、問題なく動作することを確認した。 一方で、環境雑音の低い観測候補地を探すことを目的として、既存のクライオスタットとSQUIDセンサプローブを改良し、約1日の観測ができるような小型の観測用システムを新しく構築した。当初の計画では、26年度後半にこの小型システムを持ち運びながら観測候補地を探す予定であった。しかしながら同時期に液体ヘリウムの供給が一時的に悪化し、購入が難しくなったため、野外観測試験を次年度に変更することにした。その代わり、次年度に予定していたSQUIDセンサの高分解能化を前倒しで行った。SQUIDセンサについては、検出コイルを拡大したものを新たに設計し、薄膜プロセスを用いて作製した。その結果、これまでの固有分解能0.02pT/√Hzから0.008pT/√Hzへと約1/25の高感度化を達成した。また先の新しい低ドリフトFLLと組み合わせ、1Hz以下でも0.01pT/√Hz程度の分解能で計測が可能なことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測システムの試作・検証に関しては計画通り進んでいる。ただし26年度後半に起こった液体ヘリウムの一時的な供給事情の悪化により、全体計画の一部を変更した。具体的には、当初予定していた野外観測実験をペンディングし、代わりに前倒しでSQUIDセンサの改良を行った。従って、研究期間全体での遅延は生じていないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は液体ヘリウム供給が改善されたので、ペンディングしていた野外観測試験を勢力的に行う予定である。期間の前半には小型クライオスタットシステムを用いて長期観測候補地を選定する。また並行して、高感度化を行った新しいSQUIDセンサと低ドリフトFLLとの組み合わせでの最終システムの性能を検証する。期間後半に最終システムでの観測実験を行いながら本研究の総括を行う。合わせて学会発表、論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
野外観測実験を予定していた時期に、一時的に液体ヘリウムの供給が悪化し、購入ができなかったため。加えて、野外観測の出張も見合わせたため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は野外観測を精力的に行う予定であり、そのために液体ヘリウム購入および出張費に当てる予定である。また、最終的なシステム構築へ向けての必要な試作や部品の購入、および研究総括のための学会発表や論文投稿などに使用する予定である。
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