研究課題/領域番号 |
26610147
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
飯塚 芳徳 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (40370043)
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研究分担者 |
中村 一樹 独立行政法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (50725231)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エアロゾル / 粒子組成 / 水溶性塩 |
研究実績の概要 |
本研究では、湿性沈着の水溶性エアロゾル組成という環境汚染や地球温暖化の解釈に重要で、かつ新しい環境指標を抽出して、エアロゾルの沈着メカニズムを評価することを目的とする。 平成26年4月~7月にかけて、観測地点の選定に従事した。日本最寒地である北海道の内陸地域のうち、札幌まで最も近距離のトマム(占冠村)地域を選定した。星野リゾートトマムとの産学官連携のもと、低温になりやすくかつ汚染の少ない採取地点として星野リゾートトマム敷地内の盆地の底の地域を観測拠点とした。 平成26年8月~11月にかけて、採取した雪を-50℃で運搬するロジスティクス開発に従事した。採取した雪に含まれる水溶性微粒子を融解させないために、低温クーラーとドライアイスを用いて30時間程度-50℃を維持できる恒温箱を開発した。徒歩による運搬にも対応できるように総量10㎏程度の軽量型の恒温箱を作成した。 厳寒期(平成26年12月~平成27年3月)に同時期の降雪とエアロゾルを採取した(計16試料)。並行して気象観測を行い、採取時の気温や降雪量を計測した。採取した降雪は南岸低気圧性由来、現地性のダイヤモンドダスト(細雪)、日本海からの冬型の季節風由来からなる。 平成27年2月から、開発済みの雪昇華装置を利用して、採取した降雪を昇華し降雪中の固体微粒子を抽出している。具体的には、エアーコンプレッサー、エアードライヤーを用いて露点温度の低い乾燥空気を作り出し、乾燥空気を強制的にフィルター上の降雪に送り込み、水溶性エアロゾル微粒子が固体で存在する-50℃以下の低温状態で雪や揮発性物質を昇華蒸発させた。平成26年度内に2試料の不揮発性粒子の抽出を終了した。平成27年度において引き続き、不揮発性粒子の抽出を続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科学研究費の申請書に沿った進展をしている。 分析結果の初期的成果を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
・降雪の採取と降雪に含まれる微粒子抽出(継続) 平成26年度に引き続き降雪に含まれる微粒子抽出を行う。微粒子を残渣として抽出したフィルター1試料には、少なくとも500個以上の微粒子が検出できる。これら微粒子の元素組成を蛍光X線分析する。降雪とエアロゾルフィルター、計16試料に含まれる微粒子の蛍光X線分析を行う予定である。本課題予算で雇用する分析補助員が蛍光X線分析に従事する。 ・結果の解釈と成果を取りまとめて公表 蛍光X線分析による降雪に含まれる水溶性塩微粒子と大気エアロゾル微粒子の組成の比較から、湿性沈着粒子と乾性沈着粒子の化学形態の評価をする。共同研究者との議論に基づき、本研究で明らかになった研究成果を国内外の学会で発表し、査読付の国際学術雑誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
暖冬のため、低温の降雪が必要な本計画において3月の降雪採取が困難となり、それにかかる旅費や分析消耗品の購入分を次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分は、今後の分析に必要な消耗品費、また科研期間中の成果創出を優先にするため、学会参加費・論文の英文校閲費・投稿料などの成果公表にかかる経費に使用する。
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