研究実績の概要 |
国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)からのデジタルカメラによる超高層大気の超高解像度撮影に関して、これまでの観測データを元に、科学的な利用のための解析手法の開発を行った。ISSからの宇宙飛行士による撮影画像は、広い視野と高い空間分解能、という長所を持つが、科学目的の観測ではないため、(1)姿勢と視野の情報の不備、(2) 輝度情報の不備、(3) 分光がされていない、という問題点がある。そこで、これら3つの情報を地上実験と画像解析を用いて推定する手法を確立した。昨年度までに実施された地上実験によるデジタルカメラの感度特性を元に、中間圏・熱圏における大気光がRed、Green、Blueの3つの色チャンネルにどのような比率で現れるかを求め、それを元に、撮影された大気光の発光源が推定でき、擬似的な分光及び相対的な輝度の推定が出来るようになった。画像解析としては、撮影画像中の街明かりの位置とISSの軌道情報を元に、姿勢、視野、時刻、光学歪みなどを推定する手法を確立した。この開発によって、大気光とオーロラについて、他の観測では得られない広い視野と高い解像度を持つ観測データを利用可能となった。ここで開発された手法はHozumi et al., 2016として論文にまとめ、公表した。また、宇宙空間からの撮像観測について将来の観測提案の検討・作成も行った。
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