本研究の結果として,四国海盆では中新世に沖合800 km近くまでタービダイトが届いていた可能性が明らかになった.海底扇状地はおおよそ15-11 Maに発達しており,最大で300 m以上の厚さを持つタービダイト互層から構成されている.この規模は,活動的縁辺域では世界最大級である.さらに,本研究では海底扇状地の理論モデルを構築し,四国海盆の海底扇状地チャネルを形成するためには,90%以上が泥質堆積物で構成される大流量の混濁流が必要となることを明らかにした.すなわち,四国海盆の大規模海底扇状地が発達していた際には,後背地である西南日本島弧では急激に化学風化および削剥が進行していたことが予想される.
|