研究課題/領域番号 |
26610170
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平賀 岳彦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10444077)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 鉱物 / 形 / 低指数面粒界 |
研究実績の概要 |
岩石組織の基本因子である、鉱物の「形」と「向き」は、粒界における結晶面の種類およびその発現の頻度で決定され、それが地質環境に応じて変化することで、岩石組織の多様性が生まれている可能性が、我々の実験的研究から示された。鉱物「形」を複数の粒界に分解し、その粒界の易動度、構造およびエネルギーから「形」を理解する、新・鉱物「形」学を作ることが、本研究の目的である。 申請者研究室で合成法が開発された高緻密極細粒鉱物多結晶体を用いて、粒界移動実験を行った。まず、焼結時間を変えることで、粒径の異なる2つの試料を準備し、その両試料の片面を鏡面研磨し、その面同士を接合させた。変形試験機に付設された高温炉内で、接合した試料に接合面の垂直方向から小さな荷重をかけ、高温下で焼きなまし、試料を拡散接合させる。そのまま長時間(~10時間)保持し、粒界エネルギー(粒界の張力)駆動により、粗粒子側から細粒子側試料に対して粒界移動が期待された。実験後、試料の接合面に対して、垂直方向に切断・研磨し、走査型電子顕微鏡を用いてその表面を観察した。粒界移動が実際に観察され、粗粒子側には、直線的な粒界(低指数面粒界)や湾曲した一般粒界が存在し、その粒界の安定性が確かめられた。また、その安定性の化学組成効果が調べられ、Al, Caの添加がその安定性を高める結果が得られた、粒界偏析が低指数面粒界の粒界エネルギーを下げるという予想がたてられ、今後、二面角の測定等により検証を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粒界面解析を行う予定であったが、実験を進めていく過程で、天然の試料解析においては、偏光顕微鏡とユニバーサルステージの組み合わせが非常に有効であることが判明した。その実験道具の入手に手間取り、当初の予定と比べて進展が遅くなった。
|
今後の研究の推進方策 |
天然試料の粒界面解析を進める。また、走査型電子顕微鏡・後方電子散乱回折法を用いて、実験試料の粒界面解析も行える可能性が出てきたので、それも進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究を進める過程で、偏光顕微鏡とユニバーサルステージの組み合わせによる粒界面解析を行う有効性が判明し、その実験の整備を行う必要が生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
偏光顕微鏡を用いた実験に必要な薬品および顕微鏡の消耗品(電球、ステージの掃除費)に使用する予定。
|