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2015 年度 実施状況報告書

分子動力学計算による地殻内超臨界流体物性の解明と地震発生に与える影響の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26610172
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

佐久間 博  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20400426)

研究分担者 市來 雅啓  東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80359182)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード地殻流体 / 電気伝導度 / 比抵抗 / 塩水 / 二酸化炭素 / 水 / 超臨界 / 分子動力学計算
研究実績の概要

本研究では1.超臨界状態にあるCO2を取り扱う最先端の分子動力学(MD)計算法を開発し、2.地殻の温度圧力条件における超臨界H2O-CO2-NaCl流体の物性データベースを構築することで、3.地震の震源域や火山活動の中心部の流体分布を明らかにし、地震発生との関連を解明することを目標とする。
本年度は、1. 地殻を網羅するH2O-NaCl流体の電気伝導度データベースの構築、2. 超臨界H2O-NaCl流体の物性データに基づく地殻内の流体分布の導出の2つの課題について研究を実施した。以下に各課題について本年度の実績を述べる。
1. 地殻を網羅するH2O-NaCl流体の電気伝導度データベースの構築: 昨年度までに実施したMD計算の結果の精度を向上し、地殻の温度圧力条件を網羅するH2O-NaCl流体の電気伝導度データベースを構築した。このデータベースは温度・圧力・塩濃度を変数とする解析式で記述され、地殻内の水流体の塩濃度・存在量を推定する際に有用で扱いやすいデータベースである。本成果は、学術雑誌Journal of Geophysical Research: Solid Earthに報告し、またプレスリリースにより日刊工業新聞に記事が掲載された。
2.超臨界H2O-NaCl流体の物性データに基づく地殻内の流体分布の導出: MD計算から得られた電気伝導度・密度を利用して、東北日本背弧側、カナダの沈み込み帯、大陸地殻の電気伝導度異常を塩水の存在で説明できるかを検討した。例として東北日本背弧側の電気伝導度異常は海水に近い塩濃度(4 wt%)の塩水の存在で説明できることが明らかになり、地震発生に水の存在が影響することを示唆する結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.超臨界CO2流体の原子間相互作用モデルの開発:CO2のポテンシャルモデルの開発がやや遅れており、来年度に集中して開発する必要がある。
2.超臨界H2O-NaCl流体の物性データに基づく地殻内の流体分布の導出:順調に流体分布の導出が可能となり、今後標準的に使用されるデータベースを構築できたと考えている。
3.地震の震源域や火山活動の中心部の流体分布を明らかにし、地震発生との関連を解明する:電磁気観測と定量的な比較ができるようになり、地震発生域における塩水の存在量と塩濃度が議論できるようになった。
以上の理由から総合的におおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後はCO2モデルの開発を中心に研究を進める。CO2はCO2間の相互作用が弱いことから、MD計算で取り扱いの難しい分子であるが、これまでにない定量的な分子モデルを開発する努力をする。本年度も昨年度に引き続き、古典MD計算を実施するための計算機の整備・計算プログラムの開発を進めた。これらの環境を有効利用し、効率的に研究を推進する。本年度は研究分担者とメール・電話での議論をし、学術論文を2報まとめた。今後はさらに効果的に研究を推進するため、これまでと同様に直接顔を合わせて研究議論を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿料として計上していたが、論文発表のタイミングから次年度の請求となったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

この次年度使用額は論文投稿料の一部として使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Electrical conductivity of NaCl-H2O fluid in the crust2016

    • 著者名/発表者名
      H. Sakuma, M. Ichiki
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Solid Earth

      巻: 121 ページ: 577-594

    • DOI

      10.1002/ 2015JB012219

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 地殻におけるNaCl-H2O流体の電気伝導度2016

    • 著者名/発表者名
      佐久間博
    • 学会等名
      Conductivity Anomaly 研究会(SGEPSS分科会)
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2016-01-06 – 2016-01-07
    • 招待講演
  • [学会発表] 地殻におけるNaCl-H2O流体の電気伝導度と公募研究の概要2015

    • 著者名/発表者名
      佐久間博
    • 学会等名
      地殻ダイナミクス2015年研究集会
    • 発表場所
      エポカ21(宮城県・栗原市)
    • 年月日
      2015-09-27 – 2015-09-30
  • [備考] 地震発生域における塩水の電気伝導度を理論的に解明 ~地震やマグマ発生のメカニズム解明に一歩前進~

    • URL

      http://www.nims.go.jp/news/press/2016/01/201601210.html

  • [備考] 地震発生域における塩水の電気伝導度を理論的に解明 ~地震やマグマ発生のメカニズム解明に一歩前進~

    • URL

      http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/01/press20160120-03.html

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公開日: 2017-01-06  

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