• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

分子動力学計算による地殻内超臨界流体物性の解明と地震発生に与える影響の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26610172
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

佐久間 博  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20400426)

研究分担者 市來 雅啓  東北大学, 理学研究科, 助教 (80359182)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード地殻流体 / 塩化ナトリウム / 電気伝導度 / イオンペア / 状態方程式 / 水 / 二酸化炭素
研究実績の概要

本研究では超臨界状態にあるCO2を取り扱う最先端の分子動力学(MD)計算法を開発し、地殻の温度圧力条件における超臨界H2O-CO2-NaCl流体の物性データベースを構築することで、地震の震源域や火山活動の中心部の流体分布を明らかにし、地震発生との関連を解明することを目標とする。
本年度は、H2O-NaCl流体の電気伝導度・密度をMD計算から整備するとともに、その成果を解説記事(2016年 Conductivity Anomaly研究会論文集)にまとめた。地殻を想定した高温高圧下におけるH2O-NaCl流体の電気伝導度は、イオンの易動度だけで決まるのではなく、イオンペアの数に大きく依存することを明らかにした。このことはイオン伝導を記述するNernst-Einsteinの式は高温高圧条件では成り立たず、温度・圧力・塩濃度の関数としてイオンペアの割合を取り入れた記述が必要であることを示唆する。H2O流体の状態方程式などは、尤もらしい物理モデルに基づき、低圧における実験値を再現するようにパラメータを決定することで、高圧条件にも外挿が許されるような解析式を構築することが多い。しかしながら、このような物理モデルの多くは、水の双極子モーメントなどの値を温度圧力によらず一定にするなど、不自然な仮定でフィッティングされており、高圧条件への予測性が低い。本研究の MD 計算では、原子間相互作用モデルに基づき、統計量として熱力学量を導出しており、結果そのものが物理モデルに基づくものであるから、不自然な物理モデルに基づいた低精度の解析式を提案するよりも、MD計算の結果に単純にフィッティングしただけの精度の高い経験式を提案した。これらの結果は、地殻のみならず、上部マントルの一部にも適用可能な温度圧力範囲にあり、地球のダイナミクス研究において重要な成果となると期待している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 分子動力学計算による地殻におけるNaCl-H2O流体の電気伝導度の導出2016

    • 著者名/発表者名
      佐久間博、市來雅啓
    • 雑誌名

      2016年Conductivity Anomaly研究会論文集

      巻: - ページ: 1-8

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Electrical conductivity of NaCl-H2O fluid at elevated pressure and temperature2016

    • 著者名/発表者名
      H. Sakuma and M. Ichiki
    • 学会等名
      Goldschmidt 2016
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-07-01 – 2016-07-01
    • 国際学会
  • [学会発表] 地球表層環境における計算化学2016

    • 著者名/発表者名
      佐久間博
    • 学会等名
      JpGU 2016
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26
    • 招待講演
  • [学会発表] NaCl-H2O流体の分子動力学計算:地殻における塩水の電気伝導度の予測2016

    • 著者名/発表者名
      佐久間博, 市來雅啓
    • 学会等名
      JpGU 2016
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi