研究課題
4種硫黄同位体の迅速高精度分析を実現し、その成果を出版した(Ueno et al., 2016 Chemical Geology)。従来のF2法と異なり、フッ化コバルトと硫化物試料をパイロフォイルに包んだ上で誘導加熱を行う新しいフッ化法を確立したことにより、これまで半日を要した工程を数秒までに短縮することが可能となった。硫黄化合物として硫化銀のマイクロフッ化法を最適化したところ、100 nmolSの微小量サンプルについても従来法と遜色ない同位体分析精度での計測ができることを明らかにした。さらに、同様のフッ化法をパイライト試料、硫酸塩鉱物試料、有機硫黄化合物に適用したところ、パイライトの直接計測が可能であることを明らかにした。これにより、従来分析では必要であったパイライトの化学抽出および硫化銀への変換工程を省くことで、さらなる迅速計測が可能になった。硫酸塩鉱物試料の場合は目的のSF6への変換は困難であるものの、SO2F2への量的変換が可能である事がわかり、今後の同位体分子計測の足がかりとなった。また、有機硫黄化合物についてはスルホ基硫黄が硫酸と同様にSO2F2に変換される一方で、C-S-C結合態の硫黄はSF6に変換される条件が見つかったため、堆積性有機分子内の硫黄について分画した同位体計測を行えると期待される。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Progress in Earth and Planetary Science
巻: 2 ページ: 41
10.1186/s40645-015-0073-2
Chemical Geology
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10.1016/j.chemgeo.2016.03.017
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10.1016/j.chemgeo.2015.10.032