小さな分子が集まった巨大な分子自己集合体(数十~百μm)にアゾベンゼン誘導体を少量ドープして光照射を行うと,分子自己集合体が目に見える運動を行うことを,我々の研究室で見いだした。これは,分子レベルの構造や運動の変化が,協奏的・協同的な発展を遂げて巨視的な運動に至るものと考えられ,生体における分子の運動や変化の階層的発展とも関連して重要である。本研究では,分子レベルの状態の変化をin situで観測し,巨大な分子自己集合体のマクロな運動に発展する過程を調べるため,百μmの空間分解能を持つ「走査NMR顕微鏡」の開発を試みた。また,ESRとNMRを合体させた動的核分極によるNMR信号増強を行った。
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