研究課題
本研究は,イオン液体/有機半導体界面のAFM直接観察で申請者が見い出した,もっぱら“きれいな界面”で促進される界面有機分子の溶出現象の起源を明らかにするとともに,欠陥のないキャリア輸送界面を安価に創製するための方法へとつなげようとするものである。本研究は当初H27年度までの予定であったが,それまでの成果をまとめて発表することを主な目的としてH28年度まで延長した。H28年度中に学術論文1件,総説3件を公開し,国際会議における招待講演を多数含む学会発表12件を実施した。スパコンを用いた分子動力学計算では,イオン液体と接する電極最表層に電荷を振り分けることにより界面に実効的な電位を印加する方法論をC60結晶などの有機半導体に適用する方法論を確立し,電極と接する界面イオン液体の分子配向や運動性を評価することで,印加する電位の大きさと極性によって異なる起源により秩序構造化が進行することを見出した。また,その構造化が及ぶ電極からの距離の違いが生まれる要因も分かってきた。これらの解析結果は,我々が開発した電気化学FM-AFMによる界面イオン液体の電位依存性を定性的に説明できる。本研究の代表的な実績として,ルブレン有機半導体単結晶とイオン液体を用いた電気二重層FETの効率的駆動現象の解明がある。ホールが注入される電位印加状態において,構造欠陥を起点としてイオン液体中へルブレンの溶出が促進されることにより構造欠陥が除かれ,キャリア輸送に理想的な界面が自動的に生成することで界面キャリア移動度が上昇していくという新しい概念となり得る機構を提唱した。
研究で得られた最新の成果概要を世界に向けて発信している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 9件、 招待講演 12件) 備考 (1件)
Jpn. J. Appl. Phys
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
表面科学
巻: 38 ページ: 印刷中
顕微鏡
巻: 51 ページ: 83-87
巻: 37 ページ: 488-493
doi.org/10.1380/jsssj.37.488
https://www.facebook.com/Recent-Achievements-of-Fukui-Lab-SurfInterface-Chem-Group-in-Osaka-Univ-792442370830639/