研究課題
本研究では、物質中での正電荷ミュオン(ミュー粒子)の詳細な振る舞いを明らかにするために、固体水素と希薄気体の二つの実験系を想定し、必要な実験システムの整備を行ってきた。H27年度は、非常に単純な系であり、最初の実験を行うには適した条件であると考えられる、希薄気体に対する実験システムの整備を特に進めた。今回整備した実験システムは、ミュオンと希薄気体が相互作用するガスセルと、ミュオンビームを絞るコリメーターシステム、ミュオンの検出系よりなっている。実際に実験を行う条件、すなわち0.1-3Paの圧力条件においてガス導入試験を行い、実験システムがマシンタイムで想定している条件下で問題なく動作することを確認した。またベータ線源を用いて、ビームを模擬した検出系の細かな調整を実施した。また、モンテカルロ計算(PHITSコード)を用いた、各種実験条件におけるシミュレーション実験についても実施し、コリメーターや検出器の配置についても最適化を行った。今年度は前期および後期でそれぞれJ-PARCミュオン実験施設における実験実施の予定があった。しかしながら両方の予定において加速器実験施設がトラブルのため、ミュオンの照射実験の実施ができなかった。ただし短時間のテスト実験については実施することができ、統計的に十分な成果を得ることはできなかったが、本計画で整備した実験システムの妥当性を示すことができた。これら実験の成果は、適宜学会発表および査読付き学術論文で発表した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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