本研究は、有機合成化学にとって無くてはならない反応のひとつであるグリニャール反応・グリニャール試薬の実体・反応機構を物理化学的な手段で解明することを目的とした。グリニャール試薬に対応する金属原子-有機分子-溶媒分子からなる気相クラスターを生成し、その性質をレーザー分光法によって研究する計画であった。レーザー蒸発法により気相Mg原子を生成し、キャリヤーガス中にヨウ化メチルおよびジエチルエーテルをまぜ、断熱膨張-冷却によりクラスターを生成した。しかし、三種の原子・分子からなるクラスターは観測されなかった。金属原子の濃度が低く、真空紫外レーザーイオン化では感度不足と考えられた。
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