今後の研究の推進方策 |
上述の通り、研究代表者の所属変更に伴い研究設備一切の移設を行ったが、その際に、本研究計画の主眼であるナノ秒チャープパルス光源を利用したCARS分光システムの立ち上げが容易になるように、装置設置場所のアレンジを見直した。今後は、まず分光システムの構築に全力を注ぐ。その上で、常温セル中のH2 (D2), N2, O2, NOなどの2原子分子やCH4, C2H2, C2H4, C2H6, CO2などの基本的な多原子分子について回転ラマン遷移の計測を行い、CARS信号強度がチャープの程度に対してどのように依存するかを定量的に検討し、通常のナノ秒CARSに対する優位性を検証するプロセスに進みたい。当初の計画では、超音速ジェット中の気体試料や反応中間体などの微量成分の測定へと展開することを目指していたが、現在の研究進捗状況から判断して、研究対象を広げずにポイントを絞った取り組みを行うこととした。具体的には、シクロプロパンやシクロペンタン等におけるパッカリング振動やC2H6などにおける内部回転のように、低波数で大振幅な振動モードに関するラマン遷移の直接観測を目指す。
|