本研究は、チャープパルスによる断熱透過というコヒーレント制御を導入することにより、高い量子状態選択性を有するナノ秒CARS分光の更なる高機能化を図ることを目的としたものであった。当該研究グループが独自に製作した周波数変調コヒーレントナノ秒パルス光源について、動作の安定性と操作性の向上を目指して改良を行った。実験的研究と並行して理論的な考察も進め、複数のチャープパルスによる多段階励起による高エネルギー状態への選択的状態分布移動や、マイクロ波とチャープパルスの併用による光学異性体の完全選別について、実現可能性を検証した。
|