研究実績の概要 |
昨年度はデカメチル-1,4-ビス(トリメチルシリル)シクロヘキサシランに2当量のカリウムtert-ブトキシドを反応させ、硫酸ジメチルを加えると、ドデカメチルシクロヘキサシランが生成することを確認した。この結果は中間にデカメチル-1,4-ジポタシオシクロヘキサシランが生成していることを示している。これを1,2-ジクロロテトラフェニルジシランとカップリングすることによってデカメチル-7,7,8,8-テトラフェニルビシクロ[2.2.2]オクタシランを合成することを試みたが、複雑な混合物が生成し、この化合物を合成することはできなかった。理論計算によってこの化合物の最適化構造を求めたところ、置換基間の込み合いが比較的大きいので、立体障害によってうまくカップリングしない可能性がある。 そこで、1,2-ジクロロテトラフェニルジシランの代わりに1,2-ジトリフラートジシランを用いてカップリングすることにした。ジクロロシランに2当量の臭化トリルマグネシウムを反応させてジトリルシランを合成した。これに1当量のトリフルオロメタンスルホン酸を反応させてトリルトリフラートシランを合成した。これをナトリウムでカップリングし、1,2-ジトリルジシランを合成した。これに2当量のトリフルオロメタンスルホン酸を反応させて1,2-ジトリフラートジシランを合成したが、他の化合物も生成しており、現在のところ1,2-ジトリフラートジシランを単離するには至っていない。この化合物を上で合成したデカメチル-1,4-ジポタシオシクロヘキサシランと反応させ、ケイ素原子上の4個の水素原子を塩素化し、これをアルカリ金属で三量化することを検討している。
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