研究課題/領域番号 |
26620024
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鷹谷 絢 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60401535)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 合成化学 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,様々な組み合わせを持つ異種二核金属錯体の合成と構造解析,反応性の調査を行った。その結果,ターピリジンに代わる新たな配位子設計を施すことで,後周期遷移金属同士の異種二核錯体の合成に成功した。また,これまでではできなかった典型金属元素を中心配位子として導入することにも成功した。 またこれまで合成した錯体の反応性について調査を進めた結果,13族金属-後周期遷移金属の二核錯体を1電子還元剤で処理することで,高反応性の低原子価錯体へと変換できることを見出した。各段階の錯体構造をX線結晶構造解析により明らかにすることにも成功し,またそれらとシラン,ボランなどとの反応性についても調査した。 これらの知見は,今後不活性結合の活性化反応などへと利用できる可能性を示したものとして意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来のターピリジン型に代わる新たな配位子の合成に成功し,その有用性を実証できたから。 またこれまで合成した錯体について,基本的な反応性を明らかにすることができたから。とりわけ,還元種の合成と構造解析に成功し,その基本的な反応性を解明できたことは,今後の研究の展開を考える上で非常に重要である。
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今後の研究の推進方策 |
13族金属-後周期遷移金属二核錯体の還元種の反応性について調査を進め,不活性分子の変換反応への利用を試みる。特に,通常変換することが困難な,炭素-水素結合や炭素-酸素結合などの,触媒的分子変換反応への利用を念頭に,様々な反応基質について検討を行う。 新たに合成した配位子を用いることで,遷移金属同士の組み合わせを持つ異種二核金属錯体の系統的合成と,その反応性の調査を行う。 一連の研究を通して,金属触媒反応開発における新しい触媒設計としても有用性を実証することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の有機試薬,金属試薬,溶媒を用いて研究を行うことができたため,消耗品の購入額が少額となった。触媒反応の検討を行う次年度は,これらの購入額が向上することが見込まれるため,次年度へと持ち越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
錯体合成に必要な金属試薬,配位子合成と触媒反応検討に必要な有機試薬,溶媒の購入費に充てる。また,これらを取り扱うガラス器具の購入費としても使用する。
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