新規合成したポリマーについて,非極性溶媒中ではランダムコイル構造を,極性溶媒中では主鎖が折りたたまったらせん構造を取っていることがわかった.ポリマーの溶液に種々のキラル化合物をゲストとして添加したところ,CDスペクトルに明確な分裂型のシグナルが観測され,らせん不斉が誘起されていることがわかった.非常に興味深いことに,室温のときと高温(70℃)のときでCDスペクトルの符号の逆転が見られ,温度によって優先するらせん不斉が異なることがわかった.温度によるらせん不斉の逆転現象は,研究代表者の知る限りこれまで二例しか知られていない極めて珍しい現象である.
|