Ni(II)錯体をテンプレートとして、ワンポットで大環状テトラアミド配位子(H4DTTM)を合成した。中間スピン状態の(NEt4)2[Fe(III)(DTTM)Cl] (1)を合成し、その結晶構造を決定した。また、錯体1は、CH3CN中で、2段階の可逆な酸化還元過程を示すことを明らかにした。次に、吸収スペクトル測定によりその酸化過程を追跡し、異なる等吸収点を示す2段階の吸収変化を観測した。化学的酸化により得られた錯体1の1電子酸化体と2電子酸化体の単離と結晶構造決定にも成功した。1電子酸化体は三重項(S = 1)の状態にあり、2電子酸化体は、温度に依存した原子価互変異性を示すことがわかった。
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