研究課題/領域番号 |
26620039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 良太 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80453843)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アザポルフィリン / ジピリン / ナノシート / ナノワイヤ |
研究実績の概要 |
準備状況として既に得られていたα位をブロモ化したジピリン配位子を用いて、ジピリン金属錯体一次元ナノワイヤの構築に成功した。このジピリン金属錯体一次元ナノワイヤは有機溶媒中に分散させることができる。これを適当な溶媒中に分散させ、アザポルフィリンへの変換反応を作用させた。反応分散液の色変化が目視および吸収スペクトル変化から確認されたものの、反応により得られた固体の溶解度は低く、その解析・同定は困難であった。 そこでα位をブロモ化したジピリン金属錯体一次元ワイヤの溶解性を増す目的で、メゾ位のアリール基に長鎖アルコキシ基を導入したものを設計した。その合成を行ったところ、合成自体は成功しているものの、単離条件の探索が現在難航している。そこでより合成が簡単な、ブロモ基を持たないが調査アルコキシ基を有するジピリン配位子の合成と、これを用いたナノワイヤ作成に立ち戻ることとした。 以下、本研究に関連している研究成果を列挙する。(1) 一次元ジピリン金属錯体ワイヤを半導体透明電極に塗布することで、光電変換の光負極として利用できることを見出した。本研究成果をChemical Science誌に発表した。(2) 二次元ジピリン金属錯体ナノシートも半導体透明電極に貼付することで、同様に光電変換の光負極として利用できることを見出した。本研究成果をNature Communications誌に発表した。これらの研究成果は本研究遂行にも役立つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ジピリンナノワイヤに関してアザポルフィリンへの変換反応を試行してみたものの、得られた物質の低溶解度のため解析が困難であった。一方でジピリンナノワイヤについては, Chemical Science誌に論文が掲載されるなど、一定の進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
溶解度を高めたナノワイヤを完成し、アザポルフィリンへの変換反応の成否を判断する。続いて、ナノシートに関しても変換反応を試行し、目的を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ジピリンワイヤのアザポルフィリンワイヤへの化学変換反応の可否に関して、反応生成物の低溶解度のために判断がつかず、研究の方針を定めることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに合成に着手している、溶解性を高めたジピリンワイヤを合成し、これにアザポルフィリンワイヤへの化学変換反応を適応し、提案した手法が利用可能かどうかを見極める。そのための合成素材・汎用溶媒などに予算を使用する。
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