研究課題
今年度の最も大きな成果として、異なるジピリン架橋配位子を含有した共重合ジピリン金属錯体ワイヤの合成に成功した点が挙げられる。既存の架橋配位子1種類のジピリン金属錯体ワイヤに比べ、蛍光量子収率が4倍に増大するという大きな効果を示した。またジピリン金属錯体ワイヤを活物質層として応用した光電変換の光応答波長も2倍程度に拡大した。長鎖アルキル基などの可溶性置換基を導入し溶解度・分散性を高めたジピリン金属錯体ワイヤの合成に成功した。研究期間延長を延長し、その高分子特性を詳細に検討する。具体的にはゲル浸透クロマトグラフィー、動的光散乱法を用いた詳細な同定・解析を行う。ハロゲンを導入し、アザポルフィリン変換反応に利用できるジピリン金属錯体ワイヤについては溶解度の問題が解決できていない。上記の可溶性置換基を導入したジピリン金属錯体ワイヤの知見を活かすことで、この問題が解決されると考えられる。ジピリン金属錯体ナノシートに関しては、ポルフィリンを組み込んだ碁盤格子ナノシートの構築に成功した。既存のジピリン金属錯体ナノシートに比べ、量子収率が2倍強増強され、また光応答波長も可視領域全体に大きく拡張された。本件については研究期間延長中にデータを揃え、投稿論文として発表する予定である。ハロゲンを導入し、アザポルフィリンナノシートへと変換できる系については、対応するジピリン三叉配位子の合成が困難に直面し、進捗はストップしている。
2: おおむね順調に進展している
ジピリンからアザポルフィリンへの変換反応は現状では進捗がよろしくない。しかしながら、共重合ワイヤにおける蛍光増強、ワイヤの可溶化、新規ナノシートの合成など、当初予期していなかった系の構築に成功しており、研究が新たな広がりを示した点は成果の一つとして数えられる。
研究期間延長を申請している。この間に、共重合ワイヤの蛍光増強、ポルフィリンを組み込んだナノシートの光電変換特性をそれぞれまとめ、論文として発表するところまで到達する。
当初予期していなかった新たな知見として、共重合ワイヤの蛍光増強、ポルフィリンを組み込んだナノシートの優れた光電変換特性を発見した。この成果をまとめ、論文として発表するところまで到達する。
消耗品としてナノシート・ナノワイヤ合成用の資材購入に充当する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 11件、 オープンアクセス 1件)
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