研究課題
本年度は、昨年度調製に成功した、ポリピロールからなる壁、「触媒ポケット」を構築したMWCNT固定化白金ナノクラスター触媒の、ポリピロール積層の有無による粒径制御の効果、及びポリピロールの有無による触媒安定化効果について中心に検討した。これまでに、「触媒ポケット」を構築したMWCNT固定化白金ナノクラスター触媒 (白金: 1 wt%)のTEMからは平均粒径が約1nmの微小なナノクラスターが得られたことが判明し、Pt LIII端XANESからは、白金は0価付近であることが分かった。これに対し、ポリピロールを積層せず、MWCNT固定化白金4核錯体を直接加熱還元をした対照触媒では、Pt LIII端XANESより白金は前者同様0価付近であるものの、TEMでは、粒径分布が幅広く、3~4 nm大きなナノクラスターの存在が確認された。本結果は、白金の固定化量を2倍 (2 wt%) にしても同様であったことから、ポリピロール積層による「触媒ポケット」形成は、ナノクラスターの調製段階で、その粒径制御に関与していることが強く示唆された。「触媒ポケット」を構築したMWCNT固定化白金ナノクラスター触媒と「触媒ポケット」のない対照触媒を用い、アニリンのベンジルアルコールによるN-アルキル化反応を検討し,触媒活性、耐久性を比較した。前者ではイミン生成物が選択的に得られたのに対し,後者ではイミン生成物とアミン生成物が1:1程度の割合で生成した。また,後者は触媒再利用1回目からアニリン転化率が低下したのに対し、前者は少なくとも触媒再利用2回目までアニリン転化率に低下が見られず、ポリピロールによる表面修飾により触媒の安定性が向上したことが示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Phys. Chem., Chem. Phys.
巻: 17 ページ: 24791-24802
10.1021/ja4131609