研究課題
本課題では、柔軟かつ異方的なメゾスケール空間を提供するリポソームに、多様な機能を示す金属錯体を合理的に組み込んだ「階層的金属錯体メゾ空間」の構築と構造の評価を推進する。本年度は、リポソームを基盤として階層的金属錯体メゾ空間を制御形成するために、(1) リポソーム内水相における金属錯体の直接合成、(2) 膜ドメイン構造を利用した金属錯体の階層的集積化、を推進した。(1) リポソーム内水相における金属錯体の直接合成チャネル形成型抗生物質であるアンフォテリシンB (AmB) によりリポソーム上にイオンチャンネルを形成し、内水相において金属錯体および配位高分子を直接合成する手法の開発に成功した。本手法を利用して、リポソーム内水相にプルシアンブルー (PB@Lipo)、Tb 配位高分子(Tb@Lipo)および Zn 錯体の合成に成功した。PB@Lipo ではセシウム吸着能、Tb@Lipo ヨウ素センシング能を評価し、それぞれバルク結晶と比べて高い性能を示すことを見出した。(2) 膜ドメイン構造を利用した金属錯体の階層的集積化異なるリン脂質を用いて、リポソーム上に膜ドメインを形成させ、一方のドメインの膜表面と膜内部に異なる金属錯体を集積化させる手法を開発した。飽和リン脂質とコレステロールからなる液体秩序相と不飽和リン脂質からなる流動性の高い無秩序相をリポソーム上に形成させた。親脂質性基としてアルキル鎖を導入した光捕集分子およびとエネルギー受容体となる親脂質性の金属錯体をリポソームに組み込むと、液体秩序相の表面に光捕集分子を、膜内部にエネルギー受容体を選択的に集積化した。これにより分子間距離が近くなることで、光エネルギー移動効率を向上させることに成功した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Dalton Transactions
巻: 44 ページ: 15126-15129
10.1039/C5DT00793C
巻: 44 ページ: 14200-14203
10.1039/C5DT02352A
http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/sakutaibussei/page03.html