本研究では、安定な半閉殻構造を取るマンガン(II)錯体に着目し、これの反応性の詳細理解に基づき、高スピン型金属触媒の化学を展開することを目的とする。まず、N-ヘテロサイクリックカルベン(NHC)を支持配位子とする種々のマンガン(II)ジメチル錯体 2a-cを合成・単離し、X線構造解析により固体状態の構造を確認した。次に、錯体2a-cとテトラメトキシシラン(Si(OMe)4)との反応を検討すると、テトラメトキシシランのモノメチル化が選択的に進行し、MeSi(OMe)3が40%程度の収率で得られた。したがって、錯体2a-cは、電気陽性のMnに結合したメチル基が、求核剤として反応することが示された。
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