研究課題
多様な構造を持つ金イソシアニド錯体を合成し、その微小刺激に対する特性を調べた。金原子上にフェニル基をもち、フェニルイソシアニドあるいは、3,5-ジメチルフェニルイソシアニドが配位した錯体において、エックス線結晶構造解析によって結晶外形に対する結晶方位を決定した後、微小な機械的刺激を与えて相転移後の面方位の変化を観測した。複数回実験を行った結果、相転移の前後で結晶方位に相関が見られないことがわかった。このことは、微小刺激によって初期に生じた新しい構造の「種」の方向が、相転移後の方位を決定づけ、相転移前の結晶方位は相転移の方向に影響しないことが明らかとなった。これは、分子ドミノ型相転移の分子レベルの機構解明に重要な情報である。また、金原子上に4-メトキシカルボニルフェニル基をもちかつ、フェニルイソシアニドが配位する錯体では、単結晶に光刺激を与えることで結晶全体が新たな結晶へ相転移することを見出した。これは光による金原子間相互作用の増強を伴う、結晶相転移現象の初めての例である。また、テトラフルオロピリジル基を持つ二核金錯体では、溶媒の出し入れを含めた、世界ではじめての四種類の発光色を持つ刺激応答性が見られた。AFMによって刺激を与える実験は、微小領域への操作をともなうため実験上困難であるため現在実施途上である
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