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2017 年度 実績報告書

協力的ヤーンテラー効果による光スイッチング強誘電

研究課題

研究課題/領域番号 26620055
研究機関東北大学

研究代表者

木村 尚次郎  東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20379316)

研究分担者 中野 元裕  大阪大学, 理学研究科, 教授 (00212093)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードスピンクロスオーバー
研究実績の概要

スピンクロスオーバ錯体[MnIII(taa)] (H3taa:tris(1-(2-azolyl)-2-azabuten-4-yl)amine)について、本研究で立ち上げた光照射下で測定可能な誘電率測定装置を用いて、633nmのHe-Neレーザ光を照射した誘電率測定を行ったが光誘起強誘電は観測されなかった。また、空洞共振器を用いたマイクロ波ESR装置による光照射下での強磁場ESR測定からも光誘起強誘電示唆する振る舞いは観測されなかった。ハイブリッド磁石を用いた強磁場誘電率測定を行い、磁場誘起によるスピンクロスオーバーに伴う大きな誘電率の増大、すなわち磁気キャパシタンス効果を観測した。その磁気キャパシタンス効果による誘電率の変化率は100%以上に達している。また、この測定から、これまでパルス磁場によってしか観測されていなかった磁場誘起スピンクロスオーバーが、定常的な磁場の下で観測された。これにより、スピンクロスオーバーの磁場温度相図が初めて明らかになった。この相図の解析によって、[MnIII(taa)]のスピンクロスオーバーに対する格子振動のエントロピーの寄与を見積もることに成功した。さらにこの物質の高スピン状態において、磁場の増加とともに誘電率が減少する負の磁気キャパシタンス効果を発見した。[MnIII(taa)]の高スピン状態は3d電子のdγ軌道の軌道自由度を持つが、スピン軌道相互作用の働きのため磁場の印加によるスピンの整列に伴ってdγ軌道が磁場方向に配向することが、この負の磁気キャパシタンス効果の原因となっていると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Magnetoelectric effect in the quantum spin gap system TlCuCl32017

    • 著者名/発表者名
      S. Kimura, K. Kakihata, Y. Sawada, K. Watanabe, M. Matsumoto, M. Hagiwara and H. Tanaka
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 95 ページ: 184420/1-7

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.95.184420

    • 査読あり
  • [学会発表] MnIIIスピンクロスオーバー錯体の磁気キャパシタンス効果と磁歪2018

    • 著者名/発表者名
      大月保直、木村尚次郎、淡路智、中野元裕
    • 学会等名
      第73回日本物理学会年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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