研究課題
昨年度、ナノ粒子鰹濁溶液を用い、微弱なレーザー光でもギャップモードであればハイパーラマンが観測できること、またギャップ空間に共鳴する分子が存在しない場合、ハイパーレイリー散乱が強く表われることを見出した。このため、今年度は走査型顕微鏡の金プローブと金基板の間で、常温で分子が移動せずに観測でき、チップ増強ラマン散乱が観測できる分子系の探索を行った。この結果、リチウム内包フラーレンのチップ増強ラマンスペクトルが走査型トンネル顕微鏡下で容易に観測できることを見出した。この試料は、金(111)基板上にリチウム内包フラーレンのトルエン溶液を滴下し乾固することにより得られる薄膜結晶であるが、厚さ100 nm程度であっても電気伝導性であることがわかった。金表面をヨウ化カリウム溶液で処理しても同様の薄膜結晶が得られたが、臭化カリウム溶液処理では凝集体しか得られなかったので、表面の性質に依存して生成するものと考えられる。さらに興味深いことに、薄膜結晶内のフラーレンのラマンスペクトルは膜厚に依存してシフトした。これは、薄膜内で金表面からの距離に依存して電荷分布があることを示唆している。
すべて 2016
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SURFACE SCIENCE
巻: 652 ページ: 46 - 50
10.1016/j.susc.2016.03.007
PHYSICAL REVIEW E
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