研究課題/領域番号 |
26620077
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
草間 博之 学習院大学, 理学部, 教授 (30242100)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | C-H活性化 / 金属触媒 / 位置選択的 |
研究実績の概要 |
合成化学の分野では現在、遷移金属錯体の作用により単純な炭素―水素結合を活性化し合成反応に利用する試みが活発に行われているが、望みの位置の炭素ー水素結合、特に手がかりとなる官能基から遠隔位に存在する炭素―水素結合を位置選択的に活性化する手法は未だ発展途上と言える。本研究ではこのような課題に対し、剛直な構造を有するスペーサー部位を介して反応基質を捕捉する部位と炭素-水素結合を切断する遷移金属部位を併せ持つ新規遷移金属錯体の設計と合成を行い、これにより捕捉された基質の位置選択的な炭素―水素結合活性化を目指して検討を行っている。本年度は、基質捕捉部位として環状ホウ酸を、炭素―水素結合活性化能を有する金属錯体の配位部位として置換インデンあるいはフェナントロリンを選択し、これらをビアリール結合で連結した分子の設計、合成を試みた。現時点で想定した金属錯体の合成には未だ成功していないが、今後の検討により特徴的な性質をもつ新規金属錯体の創製が可能と期待している。 また本年度はカルベンを活用した位置選択的C-H結合官能基化手法の開発に向けた基礎的検討も実施しており、カルベン源として設定した各種カルボキシシラン、カルバモイルシランの合成とそのカルベン源としての利用可能性について検討を行った。 これらの検討結果を元に、次年度の検討において、目的達成に向けた有益な知見が得られるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鎖状炭化水素類の炭素ー水素結合を位置選択的に活性化する新手法を開拓するというチャレンジングな課題に向けて検討を行っているが、本年度の検討では目的の炭素ー水素結合活性化を本格的に検討する段階にまで至ることができなかったため、達成度としてはやや遅れていると言わざるを得ない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的の実現に向けて、27年度は前年度の知見を基盤として精力的な検討を実施したいと考えている。設計した金属錯体の合成、機能評価だけでなく、更に新しい分子設計を行い検討を行う予定である。また新たに考案したシリルカルボニル化合物をカルベン源として利用するC-H活性化についても様々な検討を行い、独創的な位置選択的官能基化手法の開拓を目指して検討を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
位置選択的な炭素ー水素結合活性化を実現するための新規金属錯体の設計・合成を検討してきたが、前述のように目的とする分子の合成・機能評価に至っていない、など、当初の計画通りには研究が進展していないのが現状であり、これに伴って、予算使用額についても計画通りにはいかなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、当初計画の実現を目指して目的分子の合成、機能評価を精力的に行う計画であり、また新たな炭素ー水素結合活性化法の開拓に向けた検討も本格化する予定であるため、予算面においても効果的に使用する計画である。
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