研究課題/領域番号 |
26620080
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加納 太一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40372560)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸塩基複合触媒 |
研究実績の概要 |
イミンやニトロソ化合物といった含窒素求電子剤への求核付加反応において、ブレンステッド酸触媒が反応を加速することが知られており、光学活性なジオールであるBINOL由来の光学活性リン酸などをブレンステッド酸触媒として用いた不斉合成反応が数多く知られている。そこで本研究では、近紫外線の照射によって活性化されたフェノールや2-ナフトールなどの芳香族アルコールをブレンステッド酸触媒として機能するかの検討を進めている。昨年度、光照射による触媒の酸性度と触媒活性の変化を調べるため、ビナフチル型二級アミン有機触媒および2-ナフトール存在下で、脂肪族アルデヒドのニトロベンゼンによるヒドロキシアミノ化反応を試みた際、近紫外光を照射した条件と、照射せずに遮光した条件では生成物の収率に大きな差が見られた。 そこで本年度はビナフチル骨格を有した二級アミン有機触媒にブレンステッド酸触媒として機能するヒドロキシ基を導入した触媒の合成に取り組んだ。これまでにビナフチル型アミン有機触媒としてビナフチル骨格の3位にカルボキシ基を有した二官能性有機触媒を合成していたことから、その合成中間体を利用してカルボキシル基の代わりにヒドロキシ基を導入した触媒の合成を試みた。3位の臭素化、続くリチオ化を経たホウ素化、さらに酸化条件化でのヒドロキシ基への変換を行った。段階数の多さや収率に改善の余地はあるものの、目的の二官能性触媒を得ることができた。しかしながら、予想に反した溶解性の低さから精製が出来ないという問題に直面した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブレンステッド酸触媒の酸性度によって反応性に影響があると考えられるニトロソベンゼンによるアルデヒドのヒドロキシアミノ化反応において、光照射による反応収率への影響が確認されている。そこでブレンステッド酸部位として機能するヒドロキシ基を持ったビナフチル型アミン有機触媒を合成した。
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今後の研究の推進方策 |
新たに合成した触媒はその溶解性の低さから現時点では精製が出来ていない。これは触媒に酸性部位と塩基性部位が同時に存在することに起因している。そこで触媒の塩基性のアミン部位をCbz基で保護し、溶解性を高めた状態で精製し、その後水素添加でCbz基を除去することで純粋な触媒の単離を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
合成を進めていた触媒が別の触媒の合成中間体から合成できることが分かり、予定されていた試薬類の購入が見送られたため。
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次年度使用額の使用計画 |
合成された触媒はその難溶性から精製が困難であったため、触媒の溶解性を高める誘導化に必要な試薬類やホモジナイザーを購入する。
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