π電子系化合物の「複雑性」と「多様性」を構築するための新合成戦略の確立を目指し以下を検討した。1)π共役系を持つ母核構築について:パラジウム触媒を用いる炭素-リン結合切断反応を駆使した多環系の6員環環状π共役リン化合物の合成に成功した。2)側鎖置換基の導入について:シロールやフェロセン、ナフタレンといった種々のπ共役骨格の存在下、それらを損なうことなく、メトキシ基を直接、触媒的に変換可能であることがわかった。特に、アルキニル基の導入によるπ共役系の拡張を達成した。さらにジベンゾクリセン骨格の自在合成も可能となった。
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