研究課題/領域番号 |
26620092
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
熊木 治郎 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00500290)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ステレオコンプレックス / 超薄膜 / 走査プローブ顕微鏡 / 高分子多重らせん / 高分子構造・物性 |
研究実績の概要 |
(1) isotactic poly(methyl methacrylate)(it-PMMA)/syndiotactic (st) PMMA/ poly(n-nonyl acrylate)(PNA)系 it-PMMA、st-PMMAとPNAは相溶な単分子膜を形成し、それぞれ少量をPNAに可溶化させると両者のガラス転移温度の差によりPNAに可溶化されたPMMA孤立鎖を観察できることを見出している。そこで、it-PMMA、st-PMMAを少量孤立鎖状態で可溶化させたPNA単分子膜を圧縮し、ステレオコンプレックスを形成させることを試みたが、単分子膜を圧縮するとit-PMMA鎖が単独で凝集することがわかった。高表面圧でit-PMMA/PNAの相溶性が不足するためと考えられる。このため、PNAマトリックスでは孤立鎖からのステレオコンプレックスを良好に観察することができなかった。
(2)it-PMMA/st-PMMA/atactic (at) PMMAオリゴマー そこで、it-,st-PMMAと相溶性がよく、かつ孤立鎖を観察するためにガラス転移温度が大きく異なるマトリックスポリマーを探索した結果、at-PMMAオリゴマーを用いることで可溶化したit-,st-PMMA孤立鎖を観察でき、さらに圧縮により孤立鎖からステレオコンプレックスを形成できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、使用予定であったPNAをマトリックスとして用いた場合、圧縮によりit-PMMA鎖が単独で凝集することがわかりPNAマトリックスでは孤立鎖からのステレオコンプレックス形成を観察することが出来なかったが、マトリックスポリマーを探索し、at-PMMAオリゴマーを用いることで当初の予定通り、孤立鎖を観察でき、さらに圧縮により孤立鎖からのステレオコンプレックス形成を観察できることがわかり、本研究のコンセプトが実証できることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
it-PMMA/st-PMMA/at-PMMAオリゴマー系を用いて、孤立鎖状態からのステレオコンプレックス形成挙動を詳細に検討し、ステレオコンプレックス形成挙動を分子レベルで明確化する。また、it-PMMAオリゴマー/st-PMMAポリマー系等の2成分系でも、ステレオコンプレックス形成挙動を検討し、ステレオコンプレックス形成挙動を明確化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究においては、日常的に使用するカンチレバーの費用が占めるウェイトが大きい。H26年度は、LB実験やマトリックスポリマーの探索の比重が高くカンチレバーの消費が抑えられたため、次年度への繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度は、孤立鎖から形成されたステレオコンプレックスの高分解能観察を行う予定であり、そのカンチレバー購入費用に充てる予定である。
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