研究課題/領域番号 |
26620093
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹内 大介 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (90311662)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 触媒 / ペプチド / 共重合 / 一酸化炭素 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、環状配位子を有する複核パラジウム錯体触媒を用い、イミンと一酸化炭素との共重合による新しいポリペプチド合成を達成することである。従来、ビピリジン配位子を有する単核パラジウム錯体による反応について検討例があるが、この場合には安定なキレート錯体が生成し、ポリマーは得られないことが知られていた。本研究では、近接した二つの金属中心をもつ触媒により、円滑かつ立体選択的な生長反応を達成し、分子量および立体規則性の制御されたポリペプチド合成を目指す。 昨年度はジイミンパラジウム錯体をキサンテンユニットで連結した、環構造を有する二層型複核パラジウム錯体を合成した。目的の錯体が得られていることをNMRにより確認した。 複核パラジウム錯体に対してナトリウムボレート塩を作用させることでカチオン性複核錯体とし、N-メチルベンズイミンと一酸化炭素を反応させた。一酸化炭素加圧下(5 atm)で反応を行い、反応混合系のGPCおよびNMR解析を行ったところ、わずかながら何らかの反応が進行していることが示唆されたが、ほとんどポリマーは生成していないことが分かった。 単核パラジウム錯体を用いて、パラジウムに対して等モル量のイミンと一酸化炭素(1 atm)を作用させ、70℃で反応を行った後、反応混合系のNMR解析を行った場合には、キレート錯体の生成が確認された。一方、それ以上の反応は進行していないことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載したとおり、キサンテン骨格を有する錯体の合成を行い、その構造解析を行った。また、単核錯体および複核錯体を用いたイミンと一酸化炭素との共重合について検討を行った。複核錯体を用いた場合には、当初予想していた共重合は検討した条件下では起こらず、キレート錯体と考えられる化合物が生成していることが示唆された。今後は反応条件の検討や種々のイミン配位子による検討を進め、共重合が進行する条件を見出す。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に合成した複核ジイミンパラジウム錯体を用い、種々のアリール基やアルキル基を有するイミンと一酸化炭素との共重合について検討を進める。溶媒については、これまで用いてきたアセトニトリルに加えて、ジクロロエタンやクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系の溶媒も検討し、高温・高圧下での反応についても検討を行う。共重合がうまく進行しない場合には、錯体とイミン、一酸化炭素との等モル量の反応について検討し、生成した錯体を解析し、さらにその錯体を用いたイミンと一酸化炭素との反応を行うことで共重合する条件を見出す。また、構造の異なる複核錯体のデザイン・合成と、それを用いた反応についても検討する。
|