研究課題/領域番号 |
26620100
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大内 誠 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90394874)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高分子合成 / らせん / 立体規則性 / カチオン重合 / キラル |
研究実績の概要 |
側鎖に「ヘミアセタールエステル(HAE)」を有するラセン高分子に対し,適当なルイス酸による可逆的活性化によって,ラセン高分子(側鎖のアセテートアニオン)を対アニオンとするカチオン重合を研究する。ここで,最初にキラルなビニルエーテルを用いてHAE化する,あるいはキラルなルイス酸でHAE結合を活性化することで,「一方向巻きのラセン対アニオン」の生成を誘起する。その後,モノマーとして用いるビニルエーテルが付加してできるドーマント種のキラリティーを,ラセン対アニオンによって制御し,立体規則性カチオン重合へと展開する。 平成26年度はパラ位にカルボン酸を有する立体規則性フェニルアセチレンポリマー(シスートランソイダル)に対し,キラルビニルエーテルを反応させてHAE結合を形成させて,ラセン誘起挙動を調べることを計画していた。まず,カルボン酸を有するフェニルアセチレンポリマーに対するビニルエーテルの付加反応を検討したが,この反応を定量的に進行させることが難しかった。 そこで,パラ位にカルボン酸を有するフェニルアセチレンに対して,ビニルエーテルを付加させてアセタール化し,その後の重合によってポリアセチレンを合成することを検討した。この場合,ヘミアセタールエステル化の制御は成功し,現在はこのモノマーの重合によってパラ位にカルボン酸を有する立体規則性フェニルアセチレンポリマーの合成を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パラ位にカルボン酸を有する立体規則性フェニルアセチレンポリマー(シスートランソイダル)に対し,ビニルエーテルを反応させてヘミアセタールエステル結合を形成させる反応が予想よりも難しいことが判明し,方針変更を余儀なくされた。アセチレンモノマーに対して反応させることが確認できたため,今後は研究の進展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
パラ位にカルボン酸を有するアセチレンモノマーに対し,キラル側鎖を有するビニルエーテルを付加させ,ヘミアセタールエステル結合を側鎖に有するポリアセチレンを合成する。ここでらせんの偏りを評価する。この段階でらせんの偏りは無いか,偏りがあっても小さいと考えている。ここにルイス酸を添加して,ヘミアセタールエステル結合を可逆的に活性化すると,らせんの偏りが大きくなると考えており,これを検証する。
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