研究課題
グラフェンナノリボンは、炭素原子で構成された一次元炭素系高分子であり、高いキャリア移動度や強い機械強度などの優れた機能を有すると理論的に予測され、ポストシリコンとして期待されている。分子部品の組み立て反応により作成するボトムアップ法は、分子設計した低分子を原料とするためエッジ構造を正確に規定したグラフェンナノリボンの作製が可能である利点を持つが、これまでに報告された方法では、低収率で且つ、20-30nm程度の短分子長のアームチェア型エッジ構造を持つグラフェンナノリボンしか得られていない。本研究では、反応点が原理的に失活しない従来に無い気相型重合法を提案し、世界で初めてのボトムアップ法によるマイクロメートル長のジグザグ型グラフェンナノリボンの実現を目指すした。ディールスアルダー反応を分子内で起こす前駆体分子を合成し、我々が開発し多2ゾーン化学気相成長法により長いグラフェンナノリボンが生成できるかどうか、また従来行われてきた臭素原子を有する前駆体を使った化学気相成長法でできたグラフェンナノリボンとの比較を行った。その結果、ディールスアルダー反応を用いる合成法では、20nm以上の長いグラフェンナノリボンが生成するが直線状ではなく曲がった高分子鎖が生成する判明した。これに対し我々が設計した従来の臭素を有するグラフェンナノリボンでは、20nm以下の短く直線状のグラフェンナノリボンが生成することが明らかになった。これらの原因について考察を行った。
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