研究課題/領域番号 |
26620107
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
須賀 健雄 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (10409659)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 精密重合 / ラジカル重合 / 光硬化 / ミクロ相分離 / ブロック共重合体 / 有機触媒 / ドーマント / コーティング |
研究実績の概要 |
本課題では、光解離性ドーマント種を介して多官能モノマーの光硬化を敢えて抑える、従来と逆の着想で、ネットワーク形成の時間軸を広げ、速度論的に埋もれていたミクロ相分離の誘起やマクロスコピックな表面形状変化、機能部位の表面編析を顕在化させ、光硬化材料設計の新しい切り口を提示することを目的とする。具体的には(1)光解離性の高分子ドーマント種を合成、重合をOn/Offできる「光駆動型」の精密ラジカル重合と、(2)光硬化過程を動的に描像するin-situ AFM計測を鍵技術として開拓する。初年度の成果は以下の通りである。 (1) 光解離性高分子ドーマント種の合成と鎖延長反応 有機触媒を用いたヨウ素移動型の精密ラジカル重合によりMMAを重合後、ブチルアクリレートを添加し停止することで末端C-I結合を安定化し、光解離性高分子ドーマント種を白色粉末として得た。NMR, MALDI-TOF MSよりブチルアクリレート1分子で停止できていることを明らかにした。引き続きアクリレートを2ndモノマーとして鎖延長反応し、ブロック共重合体が生成すること、光のOn/Offにより重合の進行/停止が制御できることを明らかにした。また単・二官能モノマーの光硬化では反応誘起型相分離により共連続かつ傾斜ドメイン構造の同時形成を見出した。 (2) 光硬化が誘起するミクロ相分離/表面構造のin-situ AFM観察 ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、シリカナノ粒子を多官能アクリレートに添加、基材に塗布後、光ファイバーを用いてUV照射し、光硬化時の表面形状及び位相像の経時変化をAFMにより追跡した。数百nmの表面凹凸の生起と位相像変化が得られ、その場観測に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
反応誘起型のマクロ相分離は従来ポリマーブレンド系において多く検討がなされてきたが、本成果では精密ラジカル重合機構を組み込むことで、ドメインサイズが1-2桁小さなミクロ相分離、かつ光硬化と組み合わせることで、全く報告例のない共連続・傾斜ドメイン構造の構築に成功した。得られたコーティングは無色透明で光学用途に期待されるほか、その中に数十nmスケールのドメイン分布があることから新たな機能性コーティングとしての展開が強く期待される。
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今後の研究の推進方策 |
光駆動型の精密ラジカル重合により、興味深いドメイン構造の構築を見出しつつある。次年度はドメインサイズの制御に関わる諸条件を整理・総括するとともに、無機ナノ粒子のハイブリッド化など機能性コーティングとしての展開をはかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬等の消耗品および旅費等を他の研究費(JSTテニュアトラック研究費)から支出できたため、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、サンプルの量合成のほか、電顕(TEM)などによるドメイン構造評価を多く実施予定で、ミクロトーム用のダイヤモンドナイフの研磨や、AFMプローブなどの購入に多く充当する。昨年少なかった学会発表も予定している。
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