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2014 年度 実施状況報告書

多原子X線共鳴ラマンの実証

研究課題

研究課題/領域番号 26620110
研究機関北海道大学

研究代表者

朝倉 清高  北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (60175164)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードXAFS / X-ray Raman / XFEL / 時間分解 / MARXR
研究実績の概要

本研究は、多原子X線共鳴ラマン分光法(MARXR)を提案し、これを実証することを目的に実験を行う。MARXRは、表面金属の吸収端に共鳴させたX線を用いて、表面金属と結合した軽元素吸着種の周辺構造を選択的に観測できる手法として期待される。平成26年度は、以下の二つについて、検討を行った。
1. X線自由電子レーザ(XFEL)を用いた蛍光X線吸収微細構造(FXAFS)測定の可能性の検討:MARXR法では、XFELを光源とすることを計画している。MARXR法を検討する中で、MARXR法の基礎となるFXAFSがXFELを光源として測定可能であるかを検証することが第1段階として必要であることが分かった。そこで、まずFXAFSの可能性をWO3を懸濁した溶液に入れ、溶液を循環させながら、測定を行った。様々な試行錯誤の結果、FXAFSを測定できることを実証した。さらに、1psの高時間分解能を達成することもわかり、MARXR法の可能性の第1歩を築いた。一方、X線分光による蛍光XAFS測定についてもラウエ型検出器(BCLA)検出器を自作して、つくばにあるPhoton Factory放射光施設で高感度のXAFS測定に成功した。現在これを改良している。SPringー8 BL36XUの高機能ビームラインの利用により、さらなる高感度化を実現した。
2. MARXRプロセスの理論的検討
理論的な検討の結果、MARXR法が基本としているMARPE法では、中心対称性では信号が出ないことが分かった。当初計画していたPt(CO)6ではなく、別の物質を検討することになった。また、詳細な理論計算が進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由:世界にまだ成功した者がおらず、上記に記した通りの予想外の新しい障害が現れた。しかし、その障害も克服できた。また、理論的な検討についても前例がないことから、困難を極めていたが、26年度後半になって、かなりめどが立ってきたため、(2)と判定した。今後、早急にMARXRの検証実験そして、実用化実験を行う予定である。

今後の研究の推進方策

今後の計画
1.理論的検討の完成:現在MARXRの理論的検討を行っており、具体的なサンプルについて、その計算を行っている。これにより、効率や検出条件および信号の解釈などについての基本的な情報をえる。また、より検出しやすい条件や物質を検討する
2. 放射光をもちいたMARXRの検出:まず NW36XUにおいて、MARR現象が起こるかの検討を行う。サンプルとしてはC上のPtナノ粒子、水溶液中のWO3、Cu(DM)2である。また、理論計算の結果適当なサンプルや条件が見つかれば、適宜それに対象を変更して実験を行う。それぞれの中心金属吸収端に波長を合わせて、ラマンの測定を行う。
3. XFELによるMARXRの時間分解測定、放射光の経験を元にXFELを用いて、MARXRの時間分解測定を試みる。対象としては電気化学電極の吸着種の電位ジャンプに対応する構造変化および応答である。

次年度使用額が生じた理由

今年度、電気化学的測定について、新たにシステム構築を行う予定であったが、理論的な検討および予備実験を優先した。また、電気化学的システムも新規購入しないで、旧来のシステムを流用する等でなんとかできそうなめどが立ってきたため、今年度は購入を見合わせた。

次年度使用額の使用計画

薬品購入などの消耗品 40万、旅費 60万、人件費50万、その他35万を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 1.Uehara, H.; Uemura, Y.; Ogawa, T.; Kono, K.; Ueno, R.; Niwa, Y.; Nitani, H.; Abe, H.; Takakusagi, S.; Nomura, M.; Iwasawa, Y.; Asakura, K., In situ back-side illumination fluorescence XAFS (BI-FXAFS) studies on platinum nanoparticles deposited on a HOPG surface as a model fuel cell: a new approach to the Pt-HOPG electrode/electrolyte interface.2014

    • 著者名/発表者名
      1.Uehara, H.; Uemura, Y.; Ogawa, T.; Kono, K.; Ueno, R.; Niwa, Y.; Nitani, H.; Abe, H.; Takakusagi, S.; Nomura, M.; Iwasawa, Y.; Asakura, K.,
    • 雑誌名

      Phys Chem Chem Phys

      巻: 16 ページ: 13748 13754

    • DOI

      10.1039/C4CP00265B

    • 査読あり
  • [学会発表] ピコ秒及びフェムト秒XAFSによる酸化タングステンの光励起状態のダイナミクス観測.2015

    • 著者名/発表者名
      上村 洋平・城戸 大貴・脇坂 祐輝・上原 広充・大場 惟史・丹羽 尉博・野澤 俊介・佐藤 篤志・一柳 光平・深谷 亮・足立 伸一・片山 哲夫・矢橋 牧名・高草木 達・大谷 文章・横山 利彦・朝倉 清高
    • 学会等名
      日本化学会第95春季年会
    • 発表場所
      日大理工学部船橋キャンパス(千葉県船橋市)
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-29
  • [備考] 表面構造化学部門ホームページ

    • URL

      http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~q16691/index.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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