研究課題
本研究は、多原子X線共鳴ラマン分光法(MARXR:Multi atom Resonance X-ray Raman)を提案し、これを実証することを目的に実験を行った。MARXRは、表面金属の吸収端に共鳴させたX線を用いて、表面金属と結合した軽元素吸着種の周辺構造を選択的に観測できる手法として期待される。平成27年度は、以下の実験を行った。1.X線自由電子レーザによるPump-Prboe蛍光XAFSの測定の可能性の検討:昨年度に引き続き、Pump-Probe蛍光XAFSの可能性を検討した。XANES(X ray absorption near edge structure) (100eVの範囲)だけでなく、EXAFS(extended X-ray absorption fine strcutre)の領域(1000eVの範囲)の測定を試みた。XFEL(x線自由電子レーザ)のエネルギーを断続的に変化させるなどし、時間をかけることにより1ps以下(500fs)という高時間分解能で励起後の構造を測定することに成功した。2.MARXRの直接観察TaNをBNで希釈(0.1%)したサンプルに対して、励起エネルギーをTaの吸収端9860 eVに固定し、Nの吸収端を確認した。実験は、SPring8のBL36XUでおこなった。蛍光分光結晶として、ヨハンタイプのGe(440)を4枚並べたものを使った。ローランド半径は400mmである。測定は半日をかけておこなった。窒素の吸収端付近で、蛍光量が増加し、吸収端が有ることを確認した。一方、共鳴条件から外れたサンプルについては、100倍の濃度にしないと観測することができなかった。今後は、励起エネルギーを掃引し、さらに感度を上げる計画である。
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Angew. Chem.Int.Ed
巻: 55, ページ: 1364 -1367
10.1002/anie.201509252