本研究は、表面金属の吸収端に共鳴させたX線を用いて、表面金属と結合した軽元素吸着種の周辺構造を選択的に観測できる手法として、多原子X線共鳴ラマン分光法を提案し、これを実証することを目的に実験を行う。本研究はX線自由電子レーザなどの次世代高輝度X線を用いた新しい分光法につながるものとして期待される。TaNのTaL3吸収端に共鳴させ,NのRaman光を測定したところ,はっきりしたNの吸収を観測することができたが,同条件で,TaL3吸収端より低いエネルギーでRamanを測定したところ,ほとんどRaman信号を得ることができなかった。共鳴させることで数百倍の増強効果があったことを世界で初めて実証した。
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