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2016 年度 実施状況報告書

化学イメージングセンサによる高スループットスクリーニングの研究

研究課題

研究課題/領域番号 26620113
研究機関埼玉大学

研究代表者

内田 秀和  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60223559)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード二次元電気化学センサ / マイクロビーズ
研究実績の概要

本研究では従来のマイクロプレートを利用したスクリーニング法の代替法としてマイクロビーズと二次元電気化学センサを用いた酵素の活性評価法を提案して実証実験を行った。アルコール脱水素酵素を固定化したマイクロビーズを二次元電気化学センサのデバイス表面に展開し、酵素の基質、補酵素、酸化型メディエータ等を含むアガロースゲルシートを被せてビーズの位置を固定した。活性を有するビーズの周辺では酵素反応が進むに従って還元型メディエータ濃度が上昇する。二次元電気化学センサにより還元型メディエータの濃度の分布を測定することにより、活性を示す酵素が固定化されたビーズの存在位置の判別を行った。二次元電気化学センサはガラス/ITO透明電極上に真空蒸着法によりヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン/ペリレンテトラカルボン酸を順に積層したヘテロ接合型有機半導体構造を有しており、収束した励起光を照射することで、局所的な酸化還元電流を測定可能である。酸化還元電流の測定はセンサを作用極とし、別のITO透明電極を対極とした二電極法を用い、120ms周期で矩形波変調した収束レーザ光(635nm, 2.5mW)を照射して観測される電流波形から酸化還元電流を算出した。その結果、4.7~8×1000 beads/μL以上の密度であればビーズの存在範囲の判別ができることがわかった。
今後は酵素阻害剤の有無によるビーズ上の酵素活性の差を個々のビーズに対して個別に判別できるよう研究を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の基盤となる二次元電気化学センサの性能が当初の予定通り得られていないため進捗が遅れており、2つの理由がある。1つ目はセンサの二次元空間分解能が不十分であるためであり、マイクロビーズが1μm前後であるのに対してセンサの励起光ビーム径は57μmとなっており、個々のビーズを個別に測定するにはビーズの分散方法の工夫だけでは対応が困難であることがわかった。2つ目はセンサの検出感度が不十分なためであり、酵素固定化マイクロビーズ1つが産生する還元型メディエータを検出するには2桁程度の感度向上が必要と考えられる。

今後の研究の推進方策

センサの二次元空間分解能が不足している問題については現状のガルバノミラーとf-θレンズを組み合わせた光学系を諦め、新たに倒立光学顕微鏡を用いた高分解能光学系を構築し、1μmの分解能を得ることとする。
センサの検出感度が不足している問題については別途研究を進めていたイオンブロッキング膜を形成した対極を採用し、2桁の感度向上を目指すこととする。
本研究でこれまで蓄積したノウハウに上記2つの改良を加えることで、マイクロビーズ個々の測定を実現し、当初目的の酵素阻害剤のスクリーニング技術の実現を目指す。

次年度使用額が生じた理由

これまでの研究結果から新たに有益な見地が得られ、測定システムの改善が可能となった。そのため、目的に沿ったより精密な実験データを得て公表するために追加の実験をすることが好ましいと判断し、学会発表と論文投稿を延期し、次年度に執行を遅らせることとした。

次年度使用額の使用計画

測定システムを改善するため、一部の構成部品を追加して作成する費用とする。また、改善したシステムで追実験を行って精密な実験データを得るため、消耗品の補充を行う。最終的に得られたデータを公表するため、学会発表と論文投稿の費用に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 二次元電気化学測定システムによる酵素固定化マイクロビーズ測定の研究2016

    • 著者名/発表者名
      下山千紘, 長谷川有貴, 内田秀和
    • 学会等名
      電気学会E部門ケミカルセンサ研究会
    • 発表場所
      金沢市文化ホール(石川県・金沢市)
    • 年月日
      2016-06-29 – 2016-06-30

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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