研究課題/領域番号 |
26620118
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 健 京都大学, 化学研究所, 教授 (30258123)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 拡散反射 / 粗表面 / 赤外分光法 / 微粒子表面 / 分子配向 / 吸着分子 |
研究実績の概要 |
分光分析による吸着分子の分子配向解析は平滑な平面上でのみ可能で,粗面や微粒子の表面は分光学的な解析の対象になっていない.これは,粗表面で成り立つ表面選択律がないからである.
本研究では,粗面や粉末試料の反射スペクトルで吸着分子のキャラクタリゼーションを可能にするため,新しい測定法を開発し表面選択律を解明する研究に取り組んだ.従来の拡散反射法は,高感度性を狙って大きな立体角で測定することが当たり前となり,入射角という概念が失われてきた.また,拡散の過程で偏光が解消するため偏光を使うことも無駄と考えられていた.本年度の研究では旧来の観念を覆して入射角を既定した二重偏光測定法を提案し,反射光に含まれる正反射および拡散反射成分を分離して議論することにした.また,電磁気学的な基礎に立った解析との比較も行い,粗表面での吸着分子配向解析に初めて道を開く取り組みを行った.
これまでに,正反射および拡散反射成分を分離するためのクロスニコル偏光子を利用した新しい測定法同導入し,目的とした分離に成功した.アルミナ粗表面を使った実験で,実際に拡散反射スペクトルから,分子配向解析につながる成果を得ることにも成功し,極めて順調に推移している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2年をかけてやる予定の研究が,おおむね達成段階にあるため.
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今後の研究の推進方策 |
微粒子系などへの応用研究に展開する準備を進めている.チタニア微粒子の粒径分布を測ることで表面選択律の使い方を決定し,微粒子表面に吸着させたルテニウム錯体の分子配向を明らかにすることを想定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用予定の1/4波長板の規格が新しいものになるいう知らせを受け,古いものを購入するよりも新しい規格のものを購入するまで待った方が得策と判断したため.
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次年度使用額の使用計画 |
新規格の波長板が27年度前半に発売される予定であるため,時季を見てただちに導入を進める.
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