研究課題/領域番号 |
26620123
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
長岡 勉 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00172510)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 化学・バイオセンサ / 細菌 / 分子認識 / PEDOT |
研究実績の概要 |
1)細菌/PEDOT複合膜の作製条件に関する検討 細菌(大腸菌,緑膿菌など)をドープした導電性高分子膜(PPy, PEDOT)をITO電極上に作製した。細菌が生存できる条件に保つため,細菌分散液のpHを中性近傍に保つ必要があるが,これにより導電性高分子膜の成長速度が遅くなる。このため,膜合成条件の最適化を検討した。その結果,PPyでpH4以上,PEDOTで7付近での合成に成功し,細菌を生きたままで膜中に固定することに成功した。細菌の生存率と電位変化の関係を検討したところ,大腸菌ではほぼ100%の生存が確認できた。これに対して,緑膿菌では生存率が電位サイクルにより低下し,30回でほぼ20%にまで低下した。この点に関して更に検討を加えたところ,負電位に掃引すると生存率の低下が起こることが判明した。ただし,正側への電位サイクルでは,生存率はほとんど減少せず,細菌は安定であった。細菌の活性度を測定するため,電気化学的に酸素の消費量を測定したところ,30分以内に溶存酸素の大半のが細菌により消費されることが分かり,ドープされ後にも細菌は活発に活動できることが分かった。 2)細菌/PEDOT膜-顕微分光デバイスの作製 金ナノ粒子ーポリアニリン複合体コロイドを作製し,細菌と結合させて金ナノ粒子からの散乱光を観測した。顕微鏡下において,10細菌/mL以下までの細菌が計測できることが判明した。このため,本法は高感度なかつ簡便な細菌検出法として機能することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PEDOT/細菌膜の作製に成功し,細菌を生存させたままでドープすることに成功した。また,ポリマコロイドの作製にも成功し,当初計画以上の選択性,感度を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
細菌/導電成膜の光学測定の検討を今後積極的に進めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
細菌のドープ膜の開発に当初計画よりも効率的に進行し,試薬などの消耗品の使用が大幅に削減できた。この効率化は補助者の雇用により実現できたため,人件費は増大した。また,成果発表に対して,国外から国内開催の国際学会に変更したために,旅費が少なくなった。このような変動により,全体的に余剰が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
主に人件費に使用したい。また,光学用消耗品は高価であるので,最終年度の実験に必要な経費となる。
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