研究課題/領域番号 |
26620124
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
梅村 知也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10312901)
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研究分担者 |
内田 達也 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (30261548)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 構造色 / モノリス / ボロン酸 / 糖 |
研究実績の概要 |
本研究は、モノリスカラム技術(in situ重合法)と分子インプリンティング法を融合させることにより、次の3つの特性(①空間・形状の記憶、②可逆的な膨潤・収縮、③フォトクロミック特性)を兼ね備えた有機ポリマー製の情報発信型人工レセプターの開発を目的としている。本年度に実施した具体的な研究課題と主な成果を以下にまとめる。 1) 放射線重合を利用したモノリス多孔体の骨格構造及び空隙の制御.ガンマ線を用いた放射線ラジカル重合によりモノリスの骨格と空隙の制御を試みた。ガンマ線の照射量やモノマー濃度、重合時間の最適化を図ることにより、骨格径や空隙サイズを可視光と同程度の数百ナノメートルに制御することに成功した。 2) ナノインプリント用モールドを用いた薄膜状モノリスの作製と構造色発色能の評価.鋳型コロイド微粒子を用いる従来法とモノリスカラム技術の利点を活かして、ナノインプリント用モールドを鋳型に用いたフォトクロミックポリマーの作製法を検討した。スライドガラス上に作製した薄膜状のモノリスに様々な角度から白色光を照射したところ、入射角に応じて様々な色の構造色が観察された。また、原子間力顕微鏡(AFM)によりモノリスの表面構造を観察したところ、数百ミクロンの凹凸がモノリスに転写されていることが確認できた。本法により簡便に構造色を発する機能性ポリマーを作製できると期待される。 3) フェニルボロン酸型モノリスカラムの糖に対する選択性の評価.フェニルボロン酸は塩基性条件においてシス・ジオールと環状エステルを形成する。本年度はフェニルボロン酸型のモノリスカラムを試作し、グルコースとフルクトースを用いて糖に対する保持特性を評価したところ、より安定な環状エステルを形成すると思われるフルクトースの方がグルコースよりも強く保持されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造色の発色に関しては、鋳型コロイド微粒子に代わる鋳型として数百ミクロンの凹凸を有するナノインプリント用モールドを用いた方法により、簡便に構造色を発するフォトクロミックポリマーを作製することに成功した。また、分子選択性(分子認識能)に関しては、フェニルボロン酸型のモノリスが糖に対して、わずかな構造の違いでも捕捉能が大きく異なることを示すなど順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで独立して進められてきた分子認識能と構造発色能の研究を、今後は融合させ同時に実現するための条件を探索していく。
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