研究課題
本研究は、モノリスカラム技術(in situ重合法)と分子インプリンティング法を融合させることにより、次の3つの特性(①空間・形状の記憶、②可逆的な膨潤・収縮、③フォトクロミック特性)を兼ね備えた有機ポリマー製の情報発信型人工レセプターの開発を目的としている。H28年度は、フェニルボロン酸近傍にルイス塩基配位子を導入したモノリスカラムの作製に取り組み、シス・ジオール化合物をより温和なpH条件(2単位程度低い領域)で捕捉することに成功し、この成果により実用的な中性領域で糖鎖を捕集する可能性を示した。一方、ナノインプリント用モールドを鋳型に用いたモノリス薄膜作製法を確立し、フォトクロミックポリマーを簡便に作製することに成功した。また、試作したナノインプリンティング薄膜状モノリスの光透過・反射特性を詳細に検討し、本モノリス薄膜が発する構造色は、規則的なナノ構造による二次元ナノ光回折現象によるものと結論した。分子認識能と信号発信能という二つの機能を併せ持つデバイスの開発を目標に掲げ、この3年間でそれぞれの要素技術は十分に進展したと思われる。現時点において、これらの要素技術を完全に融合した情報発信型人工レセプターの開発には至っていないが、柔軟性の高い薄膜状のモノリス多孔体を簡便に調製できるようになり、膨潤・収縮が容易になったことから、構造色の変化を格段に観測しやすくなったのは大きな収穫であり、目標の実現の可能性が高くなったと確信している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Electroanalysis
巻: 28 ページ: 1947-1951
10.1002/elan.201600150