・生体内で分解可能な電極、センサについては内外で研究例は多々ある。しかし、いずれも生体内に入れた時点から分解がスタートすることを想定したものである。本研究は生体内に挿入した後、任意の時点から分解をスタートさせることを目指したものである。 ・そこで、これを実現する方法としセルロースに着目した。セルロースは透析膜として利用されるなど生体親和性がある一方で人体内では分解酵素が無いためである。 ・昨年度までに任意直径のセルロースチューブの作製方法などを開発してきたが、本年度はセルロースチューブを構成部品とする一体化電極の開発を行った。その結果、セルロースのみからなる電極を加工することができた。この電極は基本的には3本のセルロースチューブから構成され、メインチューブの内部に2本の長さの異なる細いサブチューブが挿入されている。メインチューブの先端部は閉じられているため、内部挿入されたサブチューブを通してに電解質等の液体を封入できる。 ・この電極をモデル電解質であるコラーゲンゲルに挿入し、コラーゲン中に挿入した参照電極との間で等電位を示すことを確認した。その後、電極内にセルラーゼを注入することにより数日を経て電極が分解することを確認した。 ・次にこの電極の改良型として、サブチューブを絶縁性の高いポリマーであるポリ-ε-カプロラクトンで構成することを検討した。ただし、ポリ-ε-カプロラクトンのチューブは作製できたが一体化した電極の形成までには期間内には至らなかったため、期間終了後であっても検討するものとする。
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