研究課題/領域番号 |
26620135
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柴 琢己 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70403970)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 酵素活性 / GTPase / メタロプロテアーゼ |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは、エネルギー産生やカルシウム貯蔵などにおいて重要な役割を担うオルガネラであるが、その形態は特徴的で、一般に細胞質全体に管状の網様構造を形成・分布し、ダイナミックに融合と分裂を繰り返している。ところで、このようなミトコンドリアの形はどのように調節、また保たれており、さらにその生理的な意味は何なのだろうか? これまでミトコンドリア形態の調節に働くタンパク質は十数例報告されており、興味深いことに、その多くがGTPaseである。そのため、ミトコンドリアの形態調節にはGTP加水分解時に獲得されるエネルギー差が駆動力として使われていると考えられてきた。また近年、ユビキチン活性を有するタンパク質も、ミトコンドリアの形態調節に関わっていることが明らかになってきた。このように、ミトコンドリアの形を考える上で酵素活性は一つのキーワードになるが、その作用機序は依然として未解明のまま残されている。 本研究は、細胞内におけるミトコンドリアの形態調節に着目し、特にその関連酵素群の機能発現が如何にオルガネラ膜を再構成するのか、分子的に明らかにすることにある。 そこで当該年度は、ミトコンドリア内膜の融合に直接関わる酵素群の発現系の構築を中心に研究を進めた。本研究での発現系構築に用いた分子として、GTPaseタンパク質のOPA1、またOPA1の機能発現(ミトコンドリアの内膜融合)を調節する膜結合型メタロプロテアーゼのOMA1をそれぞれレトロウイルス発現用ベクターにクローニングし、恒常レベルでのタンパク質発現条件の検討を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で、着目した酵素群のクローニングはすべて順調に行われ、野生型以外の機能不全変異体の作製も順調に行われた。これら組換えタンパク質の発現は、全て順調に行われていることがそれら特異的な抗体を用いたウエスタンブロット法により確認できた。また、現在はこれら酵素群の詳細な構造機能解析を進める目的で、それぞれの分子サイズの異なる変異体のクローニングも進めており、順調にその進展が確認できている。 以上のように、これまでにおいて当初計画していた目的・目標の現在までにおける達成度は十分であったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに構築した発現系を用いて各種組換えタンパク質を調製し、それらを用いたin vitro系による酵素群の作用機序の解明を進めていく。また、一方では本研究で取り扱っている酵素群の変異マウスの作製を進めているために、これら研究の知見を基に更なる生理機能的な観点からの点変異などの作製を本研究で行う予定である。
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