研究課題/領域番号 |
26620140
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
城 宜嗣 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 主任研究員 (70183051)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 一酸化窒素 / 脱窒菌 / 嫌気呼吸 / 細胞内タンパク質複合体 |
研究実績の概要 |
一酸化窒素還元酵素NORをノックアウトした緑膿菌は、脱窒条件下(硝酸イオン存在、嫌気条件)では生育しなかった。そこに、NORをコードしたプラスミドを導入すると、緑膿菌は生育できるようになった。すなわち、緑膿菌をホストとする、NORの発現系構築に成功した。NO産生酵素である亜硝酸還元酵素とNORとの複合体の生理的意義を確認するために、両酵素の相互作用部位にあたるアミノ酸残基を変異させたNORをこの発現系に導入した。このNOR変異緑膿菌は、野生型の緑膿菌と比較して生育が遅くなった。変異により両酵素の相互作用が弱くなった結果と解釈した。このことより、NiR-NOR複合体はNOを細胞内に拡散させないシステムである事を確認した。 さらにNORとNiRと、それらへの電子供与体タンパク質である、アズリンあるいはチトクロムc551との相互作用を、スペクトルの経時変化により解析する事を開始さいた。さらに、NOR/NiR/電子供与体の三者複合体の結晶化を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
緑膿菌をホストとするNOR発現系の構築成功は大変大きな成果である。これにより、今まで大腸菌をホストとしては成功していなかった変異体の調製が可能となった。この発現系を用いれば、NiR-NOR複合体の生理的な意義の解明も可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には今年度の方向で研究を進め、その進展を加速する。 緑膿菌をホストとするNOR発現系を用いて、複合体形成に関わるアミノ酸残基を変異させたNOR変異体を調製し、NiR-NOR複合体の生理的意義の解明につなげていきたい。蛍光ラベルしたNORならびに蛍光ラベルしたNiRを同時に緑膿菌内に発現するシステムの構築をめざす。それを用いた細胞内での両酵素の動態を蛍光顕微鏡で観察すると同時に、複合体形成を阻害する薬剤検索にも取りくむ。
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