• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

細胞膜の内外層を選択的にイメージングする手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26620141
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

城田 幸一郎  国立研究開発法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 先任研究員 (00291071)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード細胞膜 / 脂質 / リポソーム / ラマン分光
研究実績の概要

細胞膜は流動的で、不均一な脂質二分子膜であり、外側と内側の膜は非対称である。この膜機能を十分に理解するためには、ナノメートルスケールで、生体膜内外層における脂質分布を観察する必要がある。本研究では、光トラップした金属ナノ粒子をプローブとし、トラップした金属ナノ粒子の高さ位置を変えることで膜の表裏の信号を分離し、金属ナノ粒子の局在型表面プラズモンによって局所的に増強されたラマン信号を検出することにより、細胞膜の内側・外側の脂質配列を用いる粒径程度の分解能でイメージングする計画である。本手法により、生体膜ナノドメインの実体を観察し、脂質ラフトの構造・機能を探ることが目的としている。

表面増強ラマンの準備中に通常のラマン分光でリポソームを測定したとこと、スフィンゴミエリン(SM)の凝集状態が通常のラマン分光で判別できることを見出した。SMとジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)および、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)のリポソームのラマンスペクトルでは、アミドIと呼ばれる主にC=O伸縮振動によるバンドに相違が現れる。SMには1645 cm-1付近に明らかなピークが存在し、SMとDOPCの混合物では、このバンドが肩として現れるが、SMとDPPCの混合物には現れない。この波数域にバンドが出現するのは、水素結合によるSM分子の会合が予想されるので、密度汎関数法を用いて会合体の振動スペクトルを求めた結果、このバンドはSMのモノマーおよびダイマーによることが示唆された。さらに、実験的にもアミド基の炭素を13Cでラベルした試料を用いることで、このバンドがアミドIによることが確認できた。このバンドを用いれば、SMの凝集状態を探ることができるので、脂質ラフトの探求に貢献できると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A weight averaged approach for predicting amide vibrational bands of a sphingomyelin bilayer2015

    • 著者名/発表者名
      K. Yagi, P.-C. Li., K. Shirota, T. Kobayashi and Y. Sugita
    • 雑誌名

      Phys.Chem.Chem.Phys.

      巻: 17 ページ: 29113-29123

    • DOI

      10.1039/c5cp04131g

    • 査読あり
  • [学会発表] ラマン分光法によるスフィンゴミエリンの膜分布に関する研究2015

    • 著者名/発表者名
      城田幸一郎 , 八木清, 稲葉岳彦, Li Pai-Chi, 杉田有治, 小林 俊秀
    • 学会等名
      第53回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      2015-09-15

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi