本研究では、新規に開発した可視光応答型の酸化タングステン系光触媒を用い、ベンゼンからの直接水酸化反応などの有機合成反応を、光のエネルギーを利用することによって、酸素と水分子のみを反応剤として高選択的に進行させうる新規な光触媒有機合成系の開発を目指して検討を行った。これまで光触媒材料として主に用いられてきた酸化チタン系とは異なり、酸化タングステン系光触媒は有機物が溶解した水溶液中においても水分子を選択的に酸化して水酸化ラジカルを生成することが可能であり、この水酸化ラジカルがベンゼンなどの基質と反応することにより、酸化分解が抑制されて、水酸化物または部分酸化物が高選択的に得られることを見出した。
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